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「海を越える出版社」

 

2017年4月、出版レーベルSEA SONS PRESSを立ち上げた。私たちは、アーティストとライターのデュオであり、互いの共通項である「言葉とイメージ」を拠り所に、現在はアートブックや絵本、雑誌、紙のおもちゃなどの制作を行っている。

 

レーベル名である”SEA SONS”(海の子たち)という言葉は、”SEASONS”(四季)という単語を2つに分けた、半ば偶然の言葉遊びから生まれた。ちょっとした発見によって、イメージや見える景色がガラリと変わり、物語の海が広がっていく。「言葉とイメージ」の連鎖が、色とりどりの世界への扉を開いていく。そんな、心地よい風が自分の身体を通り抜けていくような感覚を大切にしながら、ものづくりをしていきたいと思っている。

 

そして、本をつくったら、それらを携えて旅に出たい。「本」という形は世界中の様々な国に昔からあるものだし、簡単に持ち運ぶことができる。それに、人は誰しも自分自身の「物語」を生きている。だからひょっとすると、本づくりを通して、以前よりも簡単に、国と国、人と人との間にある境界線を越えることができるかもしれない。だから、私たちは「海を越える出版社」だと、そう名乗りたい。

 

 

『Study of Beyond the Borders 海を越えるための習作』は、そんな私たちが、境界線を越えるためのプラクティスの場所。『英語教室』の力をお借りして、「言葉とイメージ」の世界をどんどん広げていきたい。

 

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Study of Beyond the Borders 海を越えるための習作  

vol.1  “NIGHT SWIMMING”

 

2017年9月、私たちはSEA SONS PRESSの本をスーツケースに詰め込んで、ベルリンへと渡った。アートが文化の中に根付くこの街で、SEA SONS PRESSの本を手にとってもらうきっかけが何か欲しい。そう思って、ニュースレターを英語で制作し、手紙を渡すかのように、ベルリンで出会った人々に手渡した。

 

その中に、「言葉とイメージ」が対になった、ひとつの小さな物語をしたためた。自分自身の京都の鴨川での思い出をもとに、「人と川の時間」について思いを馳せたお話。ベルリンにはシュプレー川が流れており、街の人々が親しみ、大切にしている場所でもある。だから、互いに何かを感じ、言葉にして伝え合うことができるかもしれないと思った。

 

今回は、この物語を『英語教室』のカノ先生に添削していただいた。カノ先生の添削は、「”correct”(正す)のではなく”enhance”(高める)こと」。気持ちをもっと込めることのできる英単語や、美しい響を生み出すことができる文章の流れを教えてもらうことで、自分たちの想いがより伝わりやすくなる。そして、不思議なことに、この文章を書いた私自身もまた、”enhance”してもらったことで、物語の新たな側面や可能性に気がつくことができた。

 

 

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Essay : Makoto Hamagami + Picture : Asuka Okajima,  Enhanced by Kano Ikegami

 

 

 

濱上真琴 Makoto Hamagami:

1992年三重生まれ、京都在住。ライター、リサーチャー。美学・芸術学が専門。現在は芸術、言語、社会とその周辺を行ったり来たりしながら、ソーシャリー・エンゲイジド・アートなどの研究を行なっている。最近、文化人類学や翻訳学などの、アートやその他ジャンルとの関係性について興味をもち、様々なジャンルの「境界線」あたりに目を向けていきたいと考えている。

 

岡島飛鳥 Asuka Okajima:

http://siki.tokyo

1989年生まれ。アーティスト、イラストレーター。現在京都在住。2016年より1年間、チェコに滞在し活動。その土地の人々や絵本などを通して、チェコ語・スロバキア語・ドイツ語・ウクライナ語など、英語だけでなく様々な言葉に触れ、言語という名の宇宙に興味を持つ。『Bells and Whistles』にて、「HOMEWORK」を連載中。