日本語のそとへ
最初のイントロから3ヶ月がたちました。英語をはじめて3ヶ月です。去年の暮れは、縄バシゴを伝って逃げてしまいたくなるニュースが方々からやってきて、かといって、つたって日本の外へ逃げられるような英語力があるわけもなく、風に煽られるハシゴから見える崖向こうの風景をゆらんゆらんと眺めるばかりのこころもとない年末でした。
テレビを見るのがしんどくなってきたのは7年前。新聞をとらなくなったのが4年前、雑誌もだんだん読まなくなって、電車の吊り広告も見るのがつらく、気づくとなんだかマスメディアというものからすっかり引きこもりになっていました。最近はもっぱらラジオとネットばかりです。
でも、先日、英語の教室の部屋のスミにばさばさと積んであった『Time』の表紙のオバマの写真がかっこよくて、なんとなくぱらぱら眺めてみたら、英語はよくわからなくてもレイアウトはわかる。写真もわかる。日本の週刊誌とはずいぶんちがう……中身のテキストはどんなかなぁ。そう思ったら、なんでしょう。何かがくるんとひっくりかえるような気持ちがして、押し入れの外に英語の海がちらっと見えた気がしました。
といいながら、西側の国がもろともしずんでいく時代に、40歳になって『Time』をめくって文明開化の音がしましたなんて100年遅い気がします。でも手にとるメディアが、『Time』であっても『ALJAZEERA』であっても『Democracy Now』であっても、海のむこうのメディアにだってあちらのいろんな事情があるでしょうし、隠されているものも露わなものも、いろいろ。でも違う言葉を知ることで、露わにされたものの向こうを想う自由が自分のなかに残せるなら、まだ少しだけ生きやすくなるかもしれません。
岡村昭彦という1960年代に『LIFE』で活躍したジャーナリストは、日本の人たちに話をするときに、3つの世界地図を見せたといいます。一つは日本の天気図でみるような日本が真ん中の地図。もう一つは、イギリスのグリニッジ天文台が真ん中に来る地図。ヨーロッパ大陸が真ん中で、日本は東のはじっこ。つまり極東。そして、最後はアメリカ大陸が真ん中にある地図。これは合衆国版。
■ Maps of World
“世界”の”センター”が見ている地図はこっちだよ、というわけです。いろんな国に行く人はいつのまにか知っていることだろうなぁと思うのですが、私はやっぱり知らないことです。それでまず、「世界地図」で検索してみました。
すると…
それから「world map」で検索すると…
「世界地図」は知っていたけど、「world map」は知らなかったです。
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ほかの言葉でもやってみました。
世界地图
(中国語)
خريطة للعالم
(アラビア語)
दुनिया के नक्शे
(ヒンディー語)
Margesh Patel – दुनिया के नक्शे
おまけ*こんなのも。
ヤポネシア
環日本海・東アジア諸国図(通称:逆さ地図)の掲載許可、販売について|富山県
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岡村昭彦の回顧展が東京都写真美術館でひらかれます(2014年7月~9月)
賀内麻由子:
十人十色、一色目。
英語をやりなおすタビの記録をよたよたとつづります。
山口生まれ、千葉育ち、東京ぐらし。
うろうろと息のしやすい言葉の回路をさがしています。
与那国島にあった出版社(久米島に移転)kadiibooksなど、小さいメディアのお手伝いなど。
http://www.kadibooks.com/