葉月
ざぁざぁざぁ。外は大雨。お盆休みも大雨というので、外にはでんように。と自然と促されている気がする。最近はよく、水について考える。涙もその一つ。
私はよく泣く。言葉にできない涙が多い。ぐわっと身体の内側から何か気みたいなものが盛り上がり、泣いている。あ、泣くという気づきの前には泣いていて、「あ、泣いてしまっている」とハッとすることの方が多い。自分がよく泣くからか、周りが泣くのも抵抗がない。電車やバスの中で泣いている人がいると「すべてがうまくいきますように」と念を送る。(もちろん悲しくて泣いているわけでもない人もいるだろう、そういった人にも同じように、うまくいくように、と念を送る)この話をとあるトークイベントで話すと、参加者から『驚いた』と感想をもらった。『人前で泣くのを良くないと思っていた、涙は我慢せねばいけないものだと思っていたから、念を送ってくれるような人がいるなんて。ありがたい』と驚いたそう。
涙についての英語をカノさんに尋ねる。こう感情がぐわっと身体の中から沸き立つ涙はなんていうんでしょう。
―感情を出すはshow one’s emotionと言うよ。その反対に、bottle up という表現があって、もともとは〔物を〕瓶詰めにするって意味だけど、転じて〔感情を〕抑える、押し殺すという意味にもなる。感情を瓶の中に詰めちゃう感じ。You don’t need to bottle it up. (気持ちを抑えなくていいよ。)みたいなね。
私の涙が出る瞬間は、しまってた瓶の蓋がポンっと空いてしまったよう。参加者の人が言っていた『涙は我慢せねばいけないもの』は、まさしく、感情の瓶詰め。You don’t need to bottle it up. (気持ちを抑えなくていいよ。)、瓶に蓋をしなくていい。
連日大雨が続いている。地球温暖化、人間による環境破壊の代償だというような声が飛び交っているが、それと同時に私は地球が大泣きしているようにも思う。悲しいから?嬉しいから?悔しいから?怒っているから?涙には、いろんな涙があるから、どんな涙かはわからない。そんなことより、You don’t need to bottle it up. ポンッと瓶の蓋が外れて、水が溢れ出す。災害がひどくならないように、と祈りつつ、人間と同じように、地球も雲も、自分の瓶に蓋をせず、気持ちを抑えず過ごせますように。
出版社さりげなく わかめかのこ
京都で仲間たちと小さな出版社をしています。
作り手の意図を超えて、読まれ、感じられる『本』という媒体を大変気に入っています。
最近は、絵本を作っています。9月末には文庫も出版予定です。