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卯月
 
英語教室に全然参加ができない日が続く。あらぁ。
そんなタイミングで、英語教室のカノさんから連絡。
 
「かの子ちゃんの出版社『さりげなく』のさりげなくを英語にすると、どういうのかしら。」
 
確かに。考えたことなかった。さりげなくの言葉が持つ雰囲気は、形のないふわぁっと風のような空気のような、あと押し。誰かにとって居心地良い空気、存在のような。存在というよりかは、あるようなないような、もので。と考えあぐねる。
 
「勝手に考えてみたんだけど、これがなかなか難しい。」
 
Not obvious 露骨でない、明確でない
Without anyone’s noticing 気付かれることなく
Without making a big deal 大げさにしないで
Nonchalantly のほほんとした(無関心なという意味もある)
In a casual manner 何気なく
 
あぁ、面白い。Without anyone’s noticing がイメージに近いような気がする。本の隙間にいる、宿る、住みつく?間借りする?私たち出版社の存在。気付かれなくても良い存在。Noticeという言葉は、気づくという意味だけど、「!」ではない、感じかな。もっとささやかな、意味合いなのかな。お風呂のお湯に浸かった時に、だんだん温かいことに気づいていく感じ。冬が終わりそうなとき、土の匂いが、公園のみどりがまとう空気が、ふわぁと変わっていく感じ。そんな感じですか、notice。
 
 

皐月
梅雨入り。雨がザァザァ、頭が痛い。体も重いし、あーあと声がでる。傘をさしうつむきながら歩いていて、苔、草花をみて、おまじないのように「みんな嬉しそう」とつぶやいたりしている。私たち人間はしんどくとも、生き生きしている植物たちをみていると、雨は雨でいいんだろうなぁと思えるようになった。最近は、共感について、よく考える。
 
「共感はempathy 同情はsympathy 日本語同様、共感の意味は人によって受け取り方が違うと思う。empathyはその人の立場に近づけて感じること。sympathyは自分の立場から思う感じ。ちょっと上から目線の時もあるように感じます。」
 
植物が喜んでいそうと想像するのは、共感でもないし、同情でもない。と思うと、“想像”という言葉は、懐の深い言葉だなぁと思ったりする。
 
「英語表現としては、
To put oneself in someone’s shoes(誰か)と同じ立場 [境遇]になってみる
From where I’m standing 私の立場からすると
Spare a thought (for) 〜について思う、〜のことを思いやる
こんな感じでどうかしら。」
 
日本語でいう“共感”は、ぴたっとその人の形にあてはまったり、丸い枠があれば、丸い枠に収まるようなイメージを持っていた。(メディアでは、共感と同調が同じような意味で使われることが多くなってきたような、気がする。)
 
でもならった英語を見るとそうでもないことに気が付いた。どちらかというと想像することに近い印象。To put oneself in someone’s shoes (その人の靴を履いてみる)。その人の靴を履いた気持ちを想像する?苔にも草花も靴は履いてないかもしれないけれど、靴がないって勝手に決めるのも乱暴だよなぁ。私も苔の靴を履くような、梅雨を過ごしたい。
 
出版社『さりげなく』 わかめかのこ

京都で仲間たちと小さな出版社をしています。

出版社の名前は『さりげなく』と言います。6月生まれの双子座。

作り手の意図を超えて、読まれ、感じられる『本』という媒体を

大変気に入っています。https://www.sarigenaku.net/